コラム
乳酸桿菌ってどんな菌?‐次世代注目の菌たち‐
【グループC】新たなプロバイオティクス的機能が注目される菌グループ(前半)
今回の乳酸桿菌は、ヒトの腸や口腔、膣といった身近な場所に常在し、人の健康と深く結びついている菌たちです。強い定着性を持ち、乳酸や抗菌物質をつくり出すことで、外敵の侵入を防ぎつつ、免疫のバランスを調整するとして注目されています。これからそんな【グループC】新たなプロバイオティクス的機能が注目される菌グループを前半と後半にわたってご紹介していきます。
乳酸菌クリスパタス(L. crispatus)
乳酸菌クリスパタスの名前は、ラテン語の crispus(縮れた、カールした)に由来しており、菌体の形態を表しています。最大の特徴は強力な乳酸産生力で、膣内を酸性に保ち、病原菌や雑菌が繁殖しにくい環境をつくり出します。そのため婦人科領域では特に大切な常在菌とされており、女性の健康を支える“守りの要”として注目されています。さらに近年では、プロバイオティクス素材としての応用研究も進み、感染症予防や婦人科疾患ケアに役立つ可能性が期待されています。
乳酸菌ガセリ(L.gasseri)
乳酸菌ガセリは、日本人の腸内から分離されたことで広く知られる菌で、腸内に長く残れる強い“定着力”を持っています。名前は発見者であるドイツの細菌学者 A. Gasser に由来し、その功績をたたえて名付けられました。腸内環境を整えるだけでなく、肥満の改善に関する研究が進められ、体重管理や脂質代謝への働きが注目されています。さらに免疫調整作用や感染予防の観点からも期待されています。
乳酸菌パラカゼイ(L.paracasei)
乳酸菌パラカゼイは、ヒトの腸内や発酵食品に広く見られる菌で、免疫力の向上やアレルギー症状の緩和に役立つとされています。その名前は「casei に近い」という意味の para から来ており、近縁種である Lactobacillus casei との関係性を示しています。腸内での定着力が高く、さまざまなプロバイオティクス食品に利用されているほか、感染防御や腸内環境改善への応用研究も進められています。日々の健康サポートや食品素材としての活用が期待される、頼れる菌です。
乳酸菌ロイテリ(L.reuteri)
乳酸菌ロイテリは、ヒトの腸や母乳、口腔などに存在し、抗菌物質「ロイテリン」を産生して病原菌の増殖を抑える働きを持つ菌です。その名前は、この菌を研究したドイツの微生物学者 Gerhard Reuter 博士にちなみます。腸や口腔、膣といったさまざまな部位に定着しやすく、感染症予防や免疫強化の研究が進められています。また、プロバイオティクスとして食品やサプリに応用されることで、日常的な健康サポートへの可能性が広がっている菌です。
🌱【グループC】の乳酸菌たちは、ヒトの体に寄り添いながら、腸や膣、口腔など各所で健康を支える“守りの要”のような存在です。強い定着性や乳酸・抗菌物質の産生能力によって、病原菌から体を守りつつ、免疫調整や感染予防などの機能を果たします。クリスパタス、ガセリ、パラカゼイ、ロイテリと、それぞれの菌が持つ特徴や働きは異なるものの、いずれも日常の健康サポートやプロバイオティクス研究の重要な素材として注目されています。これからの研究と応用によって、私たちの健康を支える力はさらに広がっていくでしょう。
次回は【グループC】の後半です。引き続きお見逃しなく!
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