コラム
乳酸桿菌ってどんな菌?-植物発酵に寄り添う乳酸桿菌たち-
【グループB】植物発酵・多用途系の乳酸菌グループ(漬物、味噌、サワードウなど)
乳酸桿菌というとヨーグルトやチーズといった乳製品を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は植物や穀物を発酵させる過程でも欠かせない存在です。
漬物や味噌、サワードウといった食文化に深く根づいており、腸まで届いて働く“万能タイプ”の菌として注目されています。
今回は、そんな【グループB】植物発酵・多用途系の乳酸菌グループに属する代表的な乳酸桿菌たちをご紹介します。
乳酸菌ファーメンタム(L. fermentum)
その名前の由来は「発酵する(ferment)」にあります。古くから幅広い食品に存在し、酸に強く腸まで生きて届きやすいのが特徴です。整腸作用や抗酸化作用が期待され、近年は健康サポート素材としても研究が進んでいます。
乳酸菌ヘルベティカス(L. helveticus)
語源はスイスを意味する「Helvetia」。もともとはスイスチーズから分離される菌で、古くから世界各地においてチーズおよび発酵乳のスターター菌として使用されています。 タンパク質を分解する力が強いためカルシウムの吸収を助け、骨の健康を支える役割が知られています。また、チーズやヨーグルトにコクと香りを与える大切な存在でもあります。
乳酸菌プランタラム(L. plantarum)
「植物」を意味するラテン語の“planta”に由来し、1919年にオルラ・ヤンセンによって発見され、漬物やザワークラウトといった植物発酵食品に多く見られます。環境適応力が非常に高く、腸内で整腸・免疫調整に働くだけでなく、食品の保存性を高める力を持つ“万能型”の菌です。
乳酸菌サケイ(L. sakei)
日本にゆかりが深くその名のとおり「酒(sake)」から名づけられ、日本酒や漬物から広範囲に分離される菌です。低温や塩分に強いため、肉や魚の保存発酵にも用いられてきました。腸内では感染防御を担う善玉菌として働くことが期待されています。
🍃こうして見てみると、乳酸桿菌はただの“腸にいい菌”という枠を超え、私たちの暮らしや文化に密接に関わってきた存在だと気づきます。漬物の酸味、チーズの深いコク、日本酒のまろやかさ──その背後には、目に見えない小さな菌たちがせっせと働いているのです。漬物やビールの発酵にも関わり、ビタミンの生成や免疫調整など多面的な働きが注目されています。
次に味噌汁をすするとき、漬物をかじるとき、パンをちぎるとき、その風味の奥に「乳酸桿菌が刻んできた歴史」が潜んでいると思うと、いつもの食卓もどこかドラマチックに映ってきませんか? 発酵食品を楽しむことは、まさに菌と人との共演を味わうことなのかもしれません。
次回は 【グループC】新たなプロバイオティクス的機能が注目される菌グループを前半と後半に分けてご紹介していきます!お楽しみに!
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